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国民性と人間性

国際

写真は、2019年ラグビーW杯時に何度か足を運んでいた近所のパブです。
パブによりけりですが、ラグビーW杯以外にも、プレミアリーグやSix Nationsと呼ばれる欧州のラグビー大会など、ほぼ毎週何らかのスポーツが放映されています。

イギリスのパブでラグビーを見るときも、ドイツのビアガーデンでサッカーを見るときも、日本の球場で野球を見るときも、みんな初対面なのに試合中に自然と会話や一体感が生まれる瞬間があり、「これぞ足を運ぶ醍醐味だな~」と毎回感じます。

そんなパブも今は残念ながらコロナウイルスの影響で、なるべく足を運ばないようにとのこと。
スポーツの試合も、すでにほぼすべてが延期か中止になりました。


「コロナウイルス対策」と一言にいっても、 日本とイギリスではその内容が大きく違います。

たとえば、日本は学校を一斉休校にしていますが、イギリスでは一斉休校はしていません。(※2020/3/18 13:00GMT時点)
とはいえ、イギリスでも、教員が自宅待機状態にあって十分な学校運営ができない等の理由で、学年閉鎖や学校閉鎖になっているところはあるようです。

国が違えば、医療・保険制度も有識者の意見も異なるので、対策の内容が違うのは当然でしょう。

ちなみに、イギリスの医療は税金で賄われています。
(私のような外国人の場合は、ビザ申請時に、滞在期間に応じて決められた額を一括で支払うことが求められます。)

転入と同時に近くの診療所に登録し、何かあったときにはその診療所へ。
診療所の医者が「より専門的な治療が必要だ」と判断した場合にのみ、専門医に見てもらうため病院へ行くことになります。
薬代などは有料ですが、基本的に患者の窓口負担はゼロです。

患者の窓口負担がほぼ無料だからこそ、
・国民自身でできる対応は自分でしてもらう
・「今」だけではなく、風邪が流行って診療所が繁忙期となる冬や将来も見越して対策を練る
というアプローチをとっているのがイギリスのように思います。

以下のいずれかの症状が出た場合は、自宅待機してください
・高熱 -胸や背中に触ると熱い
・新規の断続的な咳 -咳が繰り返し出はじめる

診療所や薬局、病院には行かないでください。

自宅待機していることを、111(筆者注:医療アドバイスを提供するコールセンター)に知らせる必要はありません。

自宅待機中に、コロナウイルスの検査をする必要はありません。

https://www.nhs.uk/c onditions/coronavirus-covid-19/ (2020/3/18 13:00GMT) ※筆者和訳

症状が出た場合は7日間自宅待機。
同居人がいる場合は、最初の発症者に症状が出た日から数えて14日間、 同居人も含めて自宅待機。

・自宅療養で対処できない
・症状が悪化している
・7日間経っても症状が回復しない
のいずれかの状況になってはじめて、医療アドバイスを提供する111オンラインサービスを利用する(111の通話はできるだけ使わない)というのが国の指示です。 (※2020/3/18 13:00GMT時点)


こうした環境下で過ごしていて最近感じているのが、「人間性」の大切さです。

さまざまな国から来た大学関係者が集う集合住宅に住んでいるということもあり、「国民性」という表現が適切なのかは分からないものの、それぞれが育ってきた文化や母国のニュースに影響を受けた不満や不安の声が挙がっています。

集合住宅のFacebookグループには、ここ数週間は政府・大学・集合住宅の対応に対する不満や不安を吐露する投稿が多くなされ、正直うんざりしていたのですが、先日ある住民がこんな投稿をしていました。

『急に自宅待機しなければいけなくなって、買い物とか困りごとがある人はいませんか?
これだけ住民がいるので、ここに投稿してくれたら誰かは代わりに買い物に行けるはず。
みんなが同じ考えだとは思わないけど、私は病気よりも急に隔離になることの方が心配です。』

イギリスの民間メディアSkynewsを見ていると、他の地域でも自宅待機せざるを得なくなった住民向けに買い物代行などをするボランティアが動き始めていたりするそう。

国から自宅待機の指示はあっても、自宅待機した人のケアをするサポートまではない。

だからといって愚痴を吐くのではなく、実際にその穴を埋めようとする人間性と行動力はどの国にいても通じるし、大切なものだと気づかされました。

早く収束しますように…

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