写真は、昨年末にルーマニアのとある都市のクリスマスマーケットで撮った一枚。
海外に出ると、おもしろい“日本料理”に出会うことがあります。
このお店、「TEMPURA -probably the best sandwich in the world(天ぷら-たぶん世界で一番おいしいサンドイッチ)」と看板に書いてあって、どんな天ぷら?サンドイッチ?を売っているのだろうと思って近寄ってみたら、メニューはYAKITORI。
そして、YAKITORIの説明をよく見てみると、確かに鶏を焼いたものではあるが、ルーマニア料理という…
ツッコミどころがたくさんでした。笑
さて、今回は、コロナ対策でロックダウンになる日が来るなんて思ってもみなかった2月末に”Bridging Cultural Gaps”というワークショップに参加したときの話を。
外国語教育を専攻していた学生時代、世界各地に支社のあるグローバル企業に属していた会社員時代、社会人大学院生になることを検討していた時代…と節々で「異文化理解」をテーマにした座学やワークショップを受けてきましたが、ベースにある理論は似ていても、自分が積み重ねてきた人生経験やそのとき置かれている環境で毎回新たな気づきや学びがあります。
たとえば、学生時代。限定的な海外経験しかなく、またすぐに実践できる場も身近になかったため、教科書から知識を得るように「こういうもんなんだ」と受動的に学ぶ。
会社員時代は、実際にいろんな文化的背景を持つ同僚が集まっている研修の場であったこともあり、どう応用したらよいのかを自ずと考えるように。
ちょうど個人的に興味ある分野だったこともあり、こんな本も読んでいました。
社会人生活を数年経てからは、失敗も成功どちらもいくらか経験がたまっていたこともあり、「ざっくりとした傾向を把握するために理論は欠かせないけれど、世の中すべてが理論通りに動いているわけではない。理論と現実の乖離を見極めて、臨機応変に対応するのが生身の人間の腕の見せどころ!」と考えるようになりました。
今回のワークショップは、フリーランスとしてライフコーチや企業向けの異文化間コミュニケーション支援をしている方が講師で、大学関連のコミュニティの中から希望者10名ほどが参加するかたちで行われました。
理論やその実例をインプットとして聞きつつ、様々な国からきた参加者から「実際のところどうか?」を話す時間がたくさん設けられたのが印象的でした。
たとえば、日本に関して話が盛り上がったのは、「役職が高い人と同じエレベーターに乗ってよいか?」というトピック。
講師:
「日本では、一般社員が社長とか高い役職の人と一緒のエレベーターに乗ってはいけないと聞いたことがあるの。社員が先にエレベーターを待っていたとしても、役職級の人達に譲り、自分たちは次のエレベーターが来るまで待たなきゃいけないって。これって本当?」
とある日本人参加者:
「私の会社ではそうでしたね」
私:
「私はそこまでしたことはないですね…鉢合わせた時は、挨拶をして同じエレベーターに乗っていました。ただ、当時私が一番若手だったこともありますが、同じエレベーターに乗ったときは行き先階のボタンを押したり、降りられるときに開くボタンを押してドアに手を添えたりということはしていました。が、これは別に役職級の方が相手でなく、身近な上司相手でもそうでした」
講師:
「なるほど!会社によっても違うのかもしれないわね。ちなみに、イギリスでは、役職よりもレディファーストで、役職級の人や上司が男性だったら”after you”といって女性を先にエレベーターから降ろす方が一般的なのよ」
たまたま私たち日本人2人以外は欧米出身者だったこともあり、他の参加者も講師に同意するようにうなずいていました。
肩書きや役職がものをいう日本の企業文化で、「女性だからお先にどうぞ」とは少なくとも近い将来はならないだろうなぁ…
※日本もレディファーストになるべきだと思っているわけでは全くありません!
ちなみに、日本をはじめアジアの企業文化が肩書き重視であるというトピックもありました。
もう1つ特に興味深かったのは、イギリスとオーストラリアのバスの乗客についてのディスカッションでした。
オーストラリアに比較的長期滞在していたイギリス出身の方が2名(Aさん・Bさん)いたのですが、
Aさん:
「オーストラリアに住んでた時、バスから降りるときに運転手に”Thank you”っていう乗客がいなかった。オーストラリアに行ってすぐは、なかなかイギリスでの癖が抜けなくて”Thank you”って言ってたのよ」
Bさん:
「えーっ!オーストラリアの乗客の方が”Thank you”ってすごく丁寧に運転手に言ってたわよ!むしろイギリスの方が黙って降りる人が多いよ」
と完全に見解が真逆でした。
オーストラリアも広いので、住んでた地域によるのでは?という話になったのですが、2人が住んでいたのはまさかの同じ都市!
2人のイギリスでの出身地は別の都市でしたが…
結局のところ、いくらいろんな理論や事例を頭に詰め込んだとしても、
・都度、目の前にある人や状況を自分で分析してみること(一度見聞きしたものがその国/地域のすべてだと思わないこと)
・自分が持っている価値観やバイアスを客観的に捉えること
が大切なのだと改めて気づかされた、貴重な機会でした。